無理に眠ろうとするほど、目が冴える
布団に入って「早く寝なきゃ」と思うほど、かえって目が冴えてしまう。眠れない夜に、多くの人が経験することだと思います。これは、あなたのせいでも、努力が足りないからでもありません。まずは、眠りを動かしている2つの仕組みから見ていきましょう。
ぐっすりログ / CBT-Iミニレッスン
CBT-I(不眠の認知行動療法=世界で広く支持されている考え方)を「知る」ための、アプリ内の読み物レッスン。1本2〜3分・カード形式。この5本で、以降15本が従うトーン・長さ・構造の型を確定させています。
通常カード=アプリの地の声(非人称)。
オレンジの吹き出し=監修者コメント(本田紘基・スリーププランナー)。要所にだけ差すアクセント(全5本で3本=L1・L2・L4のみ)。
各レッスン末の一文=毎回出す固定の免責。
布団に入って「早く寝なきゃ」と思うほど、かえって目が冴えてしまう。眠れない夜に、多くの人が経験することだと思います。これは、あなたのせいでも、努力が足りないからでもありません。まずは、眠りを動かしている2つの仕組みから見ていきましょう。
起きている時間が長いほど、だんだん眠くなっていきます。この、だんだん強くなっていく眠気を「眠りの圧」と呼びます。朝すっきり起きた日ほど、夜には自然と眠くなる。その感覚をつくっているのが、この仕組みです。
私たちの体には、だいたい決まった時間に眠くなり、決まった時間に目が覚める、というリズムがあります。これが体内時計です。
夜ふかしや、寝る時間・起きる時間がバラバラの日が続くと、このリズムは少しずつずれていきます。眠りは、この2つの仕組みで成り立っています。
この2つの仕組みのまわりに、毎日の習慣が積み重なっていきます。そうしてできあがる、その人なりの眠りのパターン。これを、このアプリでは「眠りのクセ」と呼んでいます。
たとえば、夕方以降のカフェイン。寝る前のスマホの光。眠れないまま、布団の中で過ごす時間。どれも一度なら小さなことですが、くり返されるほど、眠りのパターンになっていきます。次のレッスンから、一つずつ見ていきます。
「眠りのクセ」は、気合いで変えるものではなく、習慣でできたパターンです。だから、まず知っていくことで、整えていく余地があります。
この「習慣から眠りを捉える」見方は、CBT-I(不眠の認知行動療法)という、世界で広く支持されている考え方の土台になっています。このレッスンは、それを「知る」ための時間です。
毎日の記録は、あなた自身の眠りのクセを、少しずつ見えやすくしてくれます。あせらず、一緒に見ていきましょう。
これは診断ではなく、一般的な情報提供です。
一日のなかで、コーヒーで一息ついたり、寝る前にお酒を飲んだり。どちらも、多くの人にとって自然な習慣だと思います。ほっとできる大切な時間で、それ自体が悪いわけではありません。ただ、この2つは眠りと少し関わりがあります。この回でお伝えしたいのは「やめましょう」ではなく、どう関わっているのかを知って、自分なりの付き合い方を見つける入口です。まずは、ひとつずつ見ていきましょう。
コーヒーやお茶に含まれるカフェインには、眠気を抑える働きがあります。やっかいなのは、とってから体を抜けるまでに、思ったよりも時間がかかることです。人によっては、夕方に飲んだ一杯が、夜になっても残っていることがあります。そうなると、本来なら眠りの圧(レッスン1で見た、だんだん強くなる眠気)が高まる時間になっても、それを感じにくくなることがあります。夕方以降のカフェインと、寝つきには関わりがあるかもしれません。
お酒には、寝つきをよくするように感じさせる面があります。だから「眠れないから、少し飲んでから」という方も少なくありません。ところが、眠りの後半になると、かえって目が覚めやすくなったり、眠りが浅く感じられたりすることがある、と言われています。寝つきは助けても、朝までぐっすり、とはいきにくいわけです。寝る前のお酒と、夜中に目が覚めることには、関わりがあるかもしれません。
カフェインもお酒も、レッスン1でお話しした「眠りのクセ」をつくる、身近な習慣のひとつです。いつ、どのくらいとっているか。それが、眠れた感覚とどう重なっているか。毎日の記録を続けていくと、あなた自身のパターンが少しずつ見えやすくなっていきます。無理にやめなくても、まず気づくことから始められます。
これは診断ではなく、一般的な情報提供です。
レッスン1で、体には「体内時計」というリズムがあるとお話ししました。朝になると自然に目が覚めて、夜になると眠くなる。あのリズムです。では、この時計は何をたよりに時刻を合わせているのか。いちばん大きな手がかりが「光」です。私たちの体は、目に入る光の明るさから「いまが昼か夜か」を読み取って、一日のリズムをつくっています。
朝、太陽の光を浴びることは、体内時計をその日の始まりに合わせる助けになるとされています。起きたら窓の外の光を浴びる、少しだけ外に出てみる。それだけで、体は「朝が来た」と受け取ります。おもしろいのは、朝に浴びた光が、その日の夜の眠くなる時間にも関わってくることです。朝の光は、夜の眠りまで含めてリズムを整える手がかりになります。
反対に、夜に明るい光を浴びると、体内時計は「まだ昼だ」と受け取って、リズムが後ろにずれやすくなります。特にスマホやパソコンの画面の光は、目のすぐ近くで見るぶん、影響しやすいと言われています。寝る直前まで明るい画面を見ていて、頭が冴えて寝つきにくかった、という経験がある方も多いと思います。寝る前に、部屋の明かりや画面の光を控えめにすると、リズムのずれをやわらげるのに役立つかもしれません。
こうしてみると、大事なのは光の「量」というより、浴びる「タイミング」のほうです。朝と昼はしっかり明るい光を浴び、夜は少し控えめにする。この一日のメリハリが、体内時計を整えるのを助けてくれます。難しく考えなくても、朝は窓辺やベランダで光を浴びて、夜は部屋の明かりを少し落とす。それだけでも、体は昼と夜を区別しやすくなります。
光は、浴びるタイミングを少し変えるだけで、体内時計への働きかけ方が変わります。特別な準備も、道具もいりません。これも、レッスン1でお話しした「眠りのクセ」を整えていく、身近な手がかりのひとつです。今日はまず、朝の光を浴びるところから、無理のない範囲で試してみてください。
これは診断ではなく、一般的な情報提供です。
眠りは、体の中の仕組みばかりでなく、まわりの環境にも左右されます。眠りやすい部屋には、じつはいくつかの共通点があります。ここで大事にしたいのは、新しく何かを買いそろえる話ではない、ということです。見ていくのは、いま住んでいる部屋で、今日から調整できることばかりです。ポイントは大きく3つ、暗さ・音・温度です。
寝るときは、部屋を暗くするほうが眠りやすいとされています。明るさが残っていると、体内時計(レッスン3で見た、光で合わせるリズム)が「まだ昼だ」と受け取りやすくなるためです。眠る前は、部屋の明かりを一度にではなく、少しずつ落としていく。そうすると、体も自然と休むモードに入りやすくなります。
急な物音で目が覚めてしまった経験は、多くの人にあると思います。眠っている間も、耳は働いていて、音を拾い続けています。生活のなかで消せない音もありますが、できる範囲で気になる音を抑えられると、眠りが途中で途切れにくくなるかもしれません。
眠るときは、少し涼しいと感じるくらいの室温が眠りやすいとされています。暑すぎたり寒すぎたりすると、寝つきや、途中で目が覚めることに影響する場合があります。たとえば夏は少し涼しめに、冬は寒すぎないように。自分が「心地よい」と感じる温度が、ひとつの目安になります。季節に合わせて、室温や服装で無理なく調整してみてください。
暗さ・音・温度。どれも、新しく何かを買わなくても、いまの部屋で少しずつ調整できることばかりです。すべてを完璧にそろえる必要はありません。気になったところから、ひとつずつ、眠りやすい部屋に近づけていきましょう。
これは診断ではなく、一般的な情報提供です。
眠りの準備は、布団に入ってから始まるわけではありません。じつは、朝起きてからの一日の過ごし方が、その夜の眠りにつながっています。眠れないと、つい夜のことばかり気になりますが、昼のうちにできることも意外とあります。この回では、ここまで見てきた「眠りの圧」と「体内時計」を、今度は日中の側から見直してみましょう。
日中に体を動かすと、その夜の「眠りの圧」(レッスン1で見た、だんだん強くなる眠気)が高まりやすいと言われています。といっても、激しい運動でなくてかまいません。散歩をする、ひと駅ぶん歩く、そのくらいでも体はよく働きます。大切なのは、強さよりも、日中にある程度、体を動かすことです。日中の活動量と、夜の眠りやすさには、関わりがあるかもしれません。
レッスン3でお話しした光も、日中の過ごし方とつながっています。朝から昼にかけて外の光を浴びておくと、体内時計が整いやすく、夜になると自然な眠気につながりやすくなります。デスクワークが続く日でも、昼休みに少し外に出て光を浴びる。それだけで、日中の光が夜の眠りにも働きかけてくれます。
昼寝は、うまくとれば午後をすっきり過ごす助けになります。ただし、とり方には少しコツがあります。長すぎたり、夕方遅くにとったりすると、夜のための「眠りの圧」が減ってしまい、かえって寝つきに影響することがあります。とるなら、午後の早い時間に、短めに。それが、日中の休息と夜の眠りを両立させる、ひとつの目安になります。
こうして見ると、夜の眠りは、日中の光や活動、そして「眠りの圧」と「体内時計」のリズムと、ひとつながりになっているのがわかります。フェーズAでは、眠りに関わる身近な習慣を、5回に分けて見てきました。どれも、気合いで変えるものではなく、知って、少しずつ整えていける「眠りのクセ」です。毎日の記録を続けていくと、あなたに合ったリズムが、だんだん見えやすくなっていきます。ここまで、お疲れさまでした。
これは診断ではなく、一般的な情報提供です。